約 1,058,748 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3455.html
「けーねせんせー、さようならー!」 「またあしたねー!」 カァ、カァと群れなす烏が山へ戻る頃。 人里の寺子屋からも、授業から解き放たれた子供たちが喜び勇んで一斉に街中へと駆け出していく。 見送る先生は授業中とは打って変わった子らの笑顔が眩しくもあり、寂しくもあり。 「もう少し、楽しそうに勉強してくれたらな」 半年ほど前までいた、もう一匹のあの生徒みたいに。 今はもう見ることもないその生徒の存在を思い出してしまい、慧音の笑顔にさっと翳が差す。 「どうしたんだ、慧音?」 その表情の変遷を見ていたのか、見ていなかったか。 慧音の頭上に影が落ち、同時に気遣わしげな声が振ってきた。 聞きなれた声に顔を見上げれば、そこには違わず見慣れた姿が漂っている。 「妹紅、来たのか。いや、子供たちがきちんと家にまっすぐ帰るかどうか、見送っていたんだ」 まあ、考えごとに没頭していたにしてもそれ自体は嘘ではない。 慧音のことばに「そっか」と妹紅は頷いて、地上に降り立つと人気が消えて早くも空気が冷えてゆく寺子屋の中を見渡した。 以前なら、この頃を見計らって週に二度、三度と一匹の生徒がやってきた。 そのことを妹紅も覚えていたのだろう。「そういえば」と呟いて、教室へと向けていた視線を慧音へと向ける。 「前によく人目を忍んで来ていたゆっくりがいたよな。最近さっぱり見ないな」 「ああ。そのことなんだが……」 慧音は口ごもり、どこかが痛むような表情を作った。それはなんとも、説明しにくいことだ。 その反応に、妹紅の顔が曇る。不味いことを聞いたかと思いながら、沈黙を続かせるのもまた気まずいと思ったのだろう。 妹紅はとりあえず、そのまま会話を続けることを選んだらしい。一番可能性の高そうな不幸なできごとを口にした。 「……ここに通う途中に、事故か何かで死んでたのか?」 「いや。そういう訳じゃないんだ」 その問いには、慧音は違うと即答することが出来た。 というよりも、そうだったらまだよかった……と思わなくもない。慧音自身、不謹慎だと思う考えではあったが。 とはいえ、実際に起きたことはおそらくゆっくりにとってそれ以上に不幸な事態であったわけで。 「人……今回は人じゃなかったが、教えることは怖いなと。少し思っただけさ」 慧音の声に、少し自嘲の響きが混じった。 以前足しげく通っていたぱちゅりーは、実にいい生徒だった。 よく聞き、よく尋ね、よく考え、よく悩んだ。 ゆっくりの知性は、幼い子供によく似ている。成体でもそのレベルに留まるゆっくりは極めて多い。 だから慧音としても、子供たちを教える感覚で彼女にさまざまなことを教授することができた。 そして、一つだけ見落とした。 ぱちゅりーが何を求めて、人間――半獣半人の寺子屋の先生に、人間の歴史を簡単に教えて欲しいと頼み込んだのかを。 ぱちゅりーは、群れの指導者となることが多いゆっくりだ。 それが、人間の歴史――それも、途中からは幻想郷と枝分かれしてしまった、外の世界の歴史を学びたいなんて言い出したからには、 何かあると思ったほうが良かったのだろう。 とはいえ、まあ、しょせんゆっくりのやることだ。 何か裏があると気付いたとしても、それをいちいち気に留めたかどうかは、慧音自身にもわからないが。 今となっては、こう愚痴を零さざるを得ない。 「……なにも、一番の暗いところを模倣しなくても」 「……?」 戸惑いの目を向ける妹紅には敢えて応えることはなく、慧音は深々と白く煙る吐息を漏らすと共に、 もう群青に塗り替えられつつある東南の空を仰ぎ見た。 そして思う。 今から考えても、あのぱちゅりーは実にいい生徒だった。 慧音が噛み砕いて教えた外の世界の歴史を、ゆっくりなりに消化して結論と呼べるものを見出した。 ゆっくりがゆっくりするために、必要な方策を見つけたのだ。 ――ゆっくりがゆっくりするためには、てきとうなゆっくり種を他のみんなでゆっくりできないようにしたらいい。 そうしたら、少しごはんがたりなくても、少し暑かったり寒かったりしても。 そのゆっくり種を苛めている間は、みんな心はゆっくりできる。 それがぱちゅりーが慧音から教えてもらった人間の歴史の中に見つけた、ゆっくりが一番ゆっくりできる方法だった。 * * * やがて冬は既に北へと去り、生き物が待ち望んだ春が訪れたある日。 ぽいん、ぽゆん。ぽやん、ぽゆん。 聞きなれた奇怪な音がゆっくりと、リズミカルに、幾重にも重なって野山のあちこちに響いている。 冬篭りも終えて、冬を生き延びたゆっくりたちがまずは冬の節制でぎりぎりまで餓えた腹を一杯に満たすべく食料を求めて駆け巡る季節。 ただおうちの周りを散策するだけで好きなだけゆっくりできるはずの、ゆっくりたちにとって天国のような季節。 だというのに、この春はある一部の種のゆっくりにとっては、先の秋口に生まれた地獄の延長線に存在するものでしかなかった。 「こっちよ!」 「にげないでゆっくりしね!」 「レイパーは、どいつもこいつもおうじょうぎわわるいわね!」 地獄を演出するものたちは、初冬から変わらず青いリボンをつけたありす種と、月の帽子飾りをつけたまりさ種たちだった。 ゆーまにあの森の群れは、冬を越えて春に入っても平常運行だ。 それどころか、もとよりゆっくりたちに潜在化していたありす種への反感に乗って、同調する群れは各地にゆっくりと増えつつある。 つい先日も、ぶろんこが支配する群れがゆーまにあのドスの傘下に入ってありす種への迫害を強め出したという。 今、妖怪の山と正反対に位置する低山で行われている山狩りも、そうした動きの一貫に過ぎない。 それにしても、今随分前を逃げているありすは相当しぶといヤツだった。十数匹で追い回して、一向に追いつけないのだ。 というより、引っ張りまわされすぎて追っ手の方が今何処にいるのか自分の位置を失いつつある。 これでは相手を追い込むにも、適当な場所へ誘い込めない。 「……ゆゆっ。みんな、ちょっとまってね! このさきって、たしか」 この坂を上りきったら、そこに何が広がっていただろう。 追っ手――『ゆっくりたあて』の一匹が、めったに来ることのないこのあたりの知識を必死に引きずり出そうとする。 確か、追い込めそうな場所のはずだったのだが。 とはいえ、逃げる相手を追いかけている最中に「ちょっとまって」なんてできないわけで。 うろ覚えの記憶を探る間に急な斜面を必死にゆっくり登りきり、よれよれとへたりこみそうになる一同が見たものは。 「ゆひぃーっ、はぁーっ。ゆひぃーっ、ゆはぁー……あ?」 「ゆゆーっ!? ここはゆっくりできないよー!?」 見渡す限り一面に広がる、白く可憐な花の群生地。 小さな鈴を幾つも首にさげたようなその姿は、一見すればとてもかわいらしくて、ゆっくりできそうなものだった。 でも、それが絶対にゆっくりできないお花なのだということは、ろりすたちはとてもよく知っていた。 食べることどころか、触れることすらゆっくりにとっては命に関わる花畑。 その地を彩る花の名を、スズランという。 「……こっちにレイパーがきたはずなんだけど」 皆が一様に恐れて花畑に近づこうとはしないその中で。 リーダー格のろりすだけは、スズランに目を奪われることなく周囲の様子を探っていた。 この普通のゆっくりを拒むスズランの花畑の側に、姿が見えるゆっくりの数は二匹。 リーダーの言葉を耳にして、ようやくその存在に気付いたろりすとまりさたちが、今度は別の驚きでぎょっと身をすくませた。 「スー? ゆうか、しってる?」 「さあ、きにもしてないわ」 突然の闖入者を迎えて、だが先客の二匹は驚く様子も見せない。 ことに、めでぃすんの問いかけられたゆうかはろりすたちの方を見ようとする気配すらもなかった。 二匹とも、希少種である。ことに、ゆうかは多種のゆっくりと往々にして極めて関係が悪い。 ろりすたちもそれを知るから、その態度はなおのこと硬く、高圧的なものになる。 「かくすと、ためにならないわよ」 「どう、ためにならないのかしら?」 売り言葉に、買い言葉。 ゆうかとリーダー格のろりすの間の空間にさっとゆっくりできない気配が漲った。 ……もっとも、リーダー格以外のろりすやまりさたちは、どことなく乗り気ではない雰囲気を表情に漂わせているのだが。 「スゥ……ここはスーサンでいっぱいだよ。さがすならゆっくりさがすといいよ!」 「ゆゎっ、ゆっくりよらないでね!」 険悪な空気を仲裁するつもりだろうか。 一緒に探そうか、と無防備に近づくめでぃすんに『ゆっくりたあて』のまりさは慌てて近づかれた分後ろへと飛び退いた。 リーダー以外のろりすたちが気乗りしない様子を見せている理由が、まさにこれだった。 なにしろ、このめでぃすん種は触るだけで毒に冒されるという噂のある蠢く危険物だ。 人間の虐待愛好家もドMで苛め甲斐がないと評判のてんことならんで忌避する代物に、好んでお近づきになりたいと思うゆっくりなど、 幻想郷全土を探しても数えるほどしかいないだろう。 だが、そんな誰からも愛されない危険物である分、この鈴蘭に満ちた無名の丘でも不都合なく暮らせるという利点もあった。 こんな場所に長居出来るのは、中身が毒入り餡子だというこのめでぃすん種と、植物との親和性が高いゆうか種ぐらいのものだ。 仮にありす種がこの中に逃げ込んで、この二匹が庇っているのだとしても。 この二種が耐えられる環境だからといって、ありす種が無事に生きて戻れる道理は何一つない。 「おいかけなくてもだいじょうぶそうね」 「おはなさんがえいえんにゆっくりさせてくれるね」 追っ手のありすとまりさが、顔をつき合わせてぶつぶつと相談している。方向性は、すでにほぼ固まっているようだった。 リーダー格のろりすがその最中に刺すような一瞥をゆうかに向けたが、 その眼差しに気付いたゆうかが怯むこともなく真っ向からじろりとにらみ返すと、忌々しげに舌打ちしてすぐに目線を反らした。 結論が出たのは、それからすぐあとのことだった。 「……いくわよ」 リーダー格の指示が出るや、ろりすと飾り付きまりさの群れは一斉にこのゆっくりできない無名の丘から立ち去っていく。 正直なところ、スズランどれだけ近づくと危ないのか具体的なことまではわからない彼女たちは、生きた心地がしなかったのだろう。 リーダーの指示が出てから、数十匹はいた彼女たちの姿が完全に視界から消え去るまで、ゆっくりにしては驚くほどの速さでことが進んだ。 周囲に、もう一匹も闖入者たちの姿は見えない。 闖入者がいてもいなくても、ゆうかとめでぃすんは変わらずスズランの畑でゆっくりしていた。 ゆうかは草花が身近にあればそれで十分ゆっくりできるし、めでぃすんはスーサンの毒があればそれで十分ゆっくりできた。 そんなとてもゆっくりできるゆっくりプレイスにいるから、二匹は場に存在する気配が三匹分あっても気にしない。 二匹のゆっくりプレイスに、迫る死に怯えて逃げてきた闖入者が飛び込んできて勝手に隠れても、そんなものは知ったことではなかった。 「どうして、だまっていてくれたの?」 群生するスズランよりやや手前、普通の草が覆い茂った一角がわずかにあった。 声の主は、その中にある窪みに半身を埋め、息を殺してことの成り行きを窺っていたらしい。 自分はレイパーよばわりされてるありすなのに。心底不思議そうに尋ねる声の主に、ゆうかは小さく笑ってこう応じる。 「よわいものいじめには、きょうみないもの」 なるほど、と声の主――逃げていたありすは納得した。 ゆうかにとっては、例えありすがレイパーであったとしても『よわいもの』なのだ。だから、恐れるには足りない。 そして同時に、恐らくはろりすたちも群れるだけの『よわいもの』として映っているのだろう。 よわいもの同士の、よわいもの苛め。ゆうかにとってはつまらないことこの上ない演目に違いない。 その余裕が、逃亡ありすに対して寛容さとして顕れたのだろう。 その強さが、流されることのないあり方が、ありすにはとても羨ましく思えた。 「めでぃすんはゆっくりをかいほうするの!」 一方で、めでぃすんのいっていることは、いまいちわかりにくいけれど。 どうも、よわいものの味方だということらしい。しかしゆっくり解放とは大きく出たものだとありすは小さく笑った。 現実には、同じゆっくりからも敬遠されやすいめでぃすんはゆっくり解放どころか自分の解放から始めなくてはならなさそうだったが。 きっと、めでぃすんにはたいした問題ではないのだろう。 その寂しさが少しありすには気がかりで、だがやはりどこか羨ましく感じるところがあった。 まあ、なんにしても。 ありすは暫くぶりに、ずっと張りっぱなしだった気を抜いた。 ここには、ずっとありすを流し続けた嫌な流れがなかった。ありすはありすでいられるようだった。 二匹は流れを生み出さない。自分たちの在り様だけで超然としている。 それは他者と交わらない生き方だったが、今のありすはそれが一番心地よかった。 「しばらく、ゆっくりしていってもいい?」 もし、本当にゆっくりしたいなら、いつまでもこのゆっくりプレイスにはいられない。 尋ねながらそう気付く。 このゆっくりプレイスは、スズランの毒があるだけではない。孤独という、心の毒も孕んでいるから。 だが、それでもいいかとも思えた。 流されるまま、奪われるがままのゆん生よりは、その方が幾らかマシだとも思えた。 外に出れば、自分は自分でいられない。ありすが何であるかは、ありすが決めることではなくなってしまう。 ありす自身が例えなんであっても、そのありようは周囲が望む形に囚われてしまう。 それは、絶対に、嫌だった。 「「ゆっくりしていってね」」 ――ほら、孤独という安らぎは、こんなにも暖かい。 この閉じた空間で、わずかな付き合いだけを世界の全てにして、時に寂しさを覚えつつ一人きりで暮らす以上の幸福は、 外の世界に出てしまえば決して望めないじゃないか。 幻想郷という世界は、ありす種を即ちレイパーだと定めたのだから。 * * * ありす種は、レイパーだ。 ありす種として生れ落ちたゆっくりは、ごく一部の例外を除いて先天的なレイパーだ。 そしてその残ったごく一部の例外は、優秀なありすハンターになるのだ。ゆーまにあのドスのもとで。 幻想郷に生まれた『常識』は、それまでのレイパー被害という実績に基き急速に人と、ゆっくりの間に根付いていった。 その『常識』を裏打ちする数字は、どこにも存在しない。 存在しないし、必要ともされなかった。 レイパーの源であるありすを排除してしまえば、多かれ少なかれその被害もなくなるのだ。 そのひどく乱暴で簡単な理屈は、頭のつくりが粗雑なゆっくりにはとても受け入れやすかった。 ありすは、ありすという種は、もういかなる形であれゆっくりを手に入れることは未来永劫できない。 ありすがゆっくりの社会の中で生まれ、暮らす限りにおいて、ゆっくりできることは絶対にない。 流れのレイパーか、他にゆっくりのいないどこかに隠れ住まない限り、孤独を貫かない限り、ゆっくりを手に入れることは出来ないのだ。 ――果たして、そうまでして手に入れたものが真にゆっくりと呼べるものになるのか。 ゆん生の終わりに、しあわせー♪を感じて全うすることが出来るものになるのか。 それは、相当に疑わしかったのだけれど。 _______________________________________________ ありすとまりさは金髪のザコだと気が付いたら、ぶろんこさんを出したくてたまらなくなった。 ゆっくりたあて他のゆーまにあネタはほぼ枢軸・共産時代のルーマニアが元ネタ。なので東のドスはソ連相当。 ちなみにゆっくりたあての元ネタは「セクリタアテ」という、孤児集めて作り上げた秘密警察だったり。
https://w.atwiki.jp/sosaku/pages/13.html
鬼柳 看護(きりゅうかんご) 水越 悠加(みなこしゆうか) 縞津 綾(しまつあや)
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/1235.html
668 :名前が無い程度の能力:2010/06/16(水) 06 18 51 ID JsXIewSM0 幽香がなんらかの理由で記憶を無くしてしまうんだけど、 霊夢達の方針で幽香には普通の女性として暮らせることにする。 けれども、人里では訳も分からず人々に怖がられたり、 何の気も思って無かったのに、誰かに大怪我を負わせたりして、 鬱になる幽香の夢を夢想した。 669 :名前が無い程度の能力:2010/06/17(木) 18 22 09 ID Zq9B5NE60 人里では怖がられて、暴力をふるわれたから抵抗したら大怪我させちゃって 家に帰って怒りでちょっとテーブルを叩いたら簡単に粉々になっちゃって、 訳が分からなくて、わんわん泣くゆうかりんマジ慰めたい 670 :名前が無い程度の能力:2010/06/17(木) 19 08 27 ID b683IBuE0 そんな状況でもやさしくしてくれるひとりの男性に心を奪われていく幽香 二人ともいい感じにくっついてくる だがある日おふざけでデコピンしたら植物人間になってしまってわんわん泣く幽香
https://w.atwiki.jp/suigetumion/pages/56.html
10/11 第1次予選エントリー 優勝 rain 衣玖 準優勝 流石符「兄者」 妖夢 3位 3i 霊夢 4位 左門豊作 魔理沙 使用キャラ分布 博麗霊夢 6人 霧雨魔理沙 5人 十六夜咲夜 6人 アリス・マーガトロイド 5人 パチュリー・ノーレッジ 1人 魂魄妖夢 6人 レミリア・スカーレット 6人 西行寺幽々子 2人 八雲紫 5人 伊吹萃香 2人 鈴仙・優曇華院・イナバ 3人 射命丸文 7人 小野塚小町 4人 永江衣玖 3人 比那名居天子 3人 合計 64人 リプレイのまとめはこちらになります。 チームエントリー表 エントリー名 使用キャラ ホスト 一言 001 うた姫 レミリア 不可 クラセン枠に入れるかが問題( A`) 002 M.A.T 小町 可能 まずはエントリーできるかだ。 003 SABOU 咲夜 可 咲夜さあああああああああん 004 高町なのか 魔理沙 可 切符1号を狙い撃つぜ! 005 ARK れいむちゃん 不可 天生できるときいて 006 DL レミリア 可 毎回通い続ければ行けるか・・・? 007 単一暴力 レミリア 可 大会に出没。まれに運営手伝いとしても沸く。Level1。 008 無いぺたえーこ すいか 可 ひんにゅーはすてーたすだ!>< 009 (・3・) 妖夢 可 ヽ( ω )ノ三ヽ( ω )ノ 010 スピル うどんげ 可 スーパーうさぎタイム! 011 レーズ 文 可 決勝まで頑張って進みたい・・・ 012 3i 霊夢 可 とりあえず出ておこう 013 音姫 咲夜 可 無謀な挑戦! 014 mocle 咲夜 可 本当の幸福がそこにはある……「天国」へ行く事ができればな 015 rain 衣玖 可 雑魚が通りますよっと 016 流石符「兄者」 妖夢 可 とっぴろきー 017 ao アリス 可 やること色々あるけどー 018 超危険な花びら 紫 可 既に戦いは始まっている 019 てんっくうっ アリス 可 (η^_^)ηうおああ 020 ママ 衣玖 可能 毎度どうも、今日もみなさんに勝利をプレゼントしにきました 021 ryo アリス 可 頑張る。 022 左門豊作 まりさ 可 顔怖い 023 装甲 ゆゆ様 可 うおー、チャレンジ精神だー 024 したっぱ 咲夜 可 がんばるぞー 025 青森特産ちんぽ 霊夢 可 ぶるーふぉれすと 026 うぇいんげ 鈴仙 可 優曇華自虐全一なんで・・・ 027 傘兎 レミリア 可 ぶっぱ神拳の神髄を見せてやろう・・・ 028 某M 衣玖 可 #無言スレ 無言スレ用ch出来ました 029 reiya_S 紫 可 うつくしくーざんこくにー 030 ラムね 咲夜さん 可 フランちゃんだいしゅきだよおおおおおお 031 藍 みょん 可 がんばりまふ 032 サボタージュうた 小町 可 最近サボりすぎて小町がいうこときいてくれません。いい意味でも悪い意味でも。 033 鉄 あややや か 急に休みになったから筍派の俺参上!! 034 HAS 小町 可 間に合うかな 035 cynic 霊夢 可 何秒でうまるかな 036 あしたば 文 可 1番最初の選考ってことは強いのばっかくるんじゃね? 037 けんちゃん 紫 可 FF4勢が通りますね 038 ジョインマリサァ まりさ 可 セッカコー!ハァーン!ホクトウジョウハガンケン! 039 dar 紫 可 コソーリ 040 こると レミリア 可 エントリーできるかなっ。かなっ。 041 ごごちゃ 妖夢 可 みょんみょん 042 ウィッチドール アリス 可 乙女文楽るなてぃっく。 043 ポテチキン 霊夢 可 どこまで成績伸ばせるかだな 044 ξ・∀・)めるぽー ゆゆ様 可 参加するのは良いが、別に4位以内に入ってしまっても構わんのだろう? 045 クロネコ 文 可 あやややや 046 ゆうかりんランド 文 不可 ゆうかりんランドにヒマワリが咲きました♪ 047 puru ようむ 可 初参加でどぎまぎするかもですが、よろしくです 048 スポーツブラ 萃香 可 頑張る 049 天気予報士 てんこ 可 もうちょっと強くなりたいもんだ 050 FAL 魔理沙 可 幻想に迷って3ヶ月 051 こなぼこ 天子 可 記念パピコ 052 十六夜 妖夢 可 おお怖い怖い 053 風呂入る1P 文 可 おお参加参加 054 大葉 咲夜 可 強い人達と戦えると聞いて勉強しにきました 055 下僕あるいは餌 れみりあ 不可 間に合うといいね! 056 奈落ノ紫 天子 可 目標4位のリザーバーで 057 蜂信 パチュリー 可 がんばるー 058 激動のわかめ 霊夢 可 一回戦負け要員その1! 059 かーしこさんの弟子 紫 可能 安西先生,1回戦突破したいです 060 tasu12 小町 可能 映姫さま、頑張ります 061 がれん うどんげ 可能 競争率やばそう 062 人形裁判 アリス 可 間に合うかな 063 実のリスト 魔理沙 可 飯まにあうかなー 064 きすず 文 可 あいやー
https://w.atwiki.jp/hostgirl/pages/93.html
プロフィール ネタバレ回避のため、文字の色を反転させると見られるようにしています。 本名 森下 成海 誕生日 3月7日 年齢 21歳 スリーサイズ 92/63/92 血液型 O型 出身地 京都府 好きなお酒 焼酎 好きな食べ物 塩大福 苦手な食べ物 キムチ 好きなタイプ 価値観の似ている人 セリフ集(限界突破前) プロフィールコメント みおです!なんといっても生きがいは発明です。 マイクラブ そんな目で見んで下さい。 店舗運営 お客さんに発明品を披露したいおもてます~。 最近太って来たからあまりジロジロ見んといて下さい。 グッズ入手 あらあら、珍しいもんどすなー。 乾杯 酔わせてどないするんですか~? 信頼度アップ なんか素直に嬉しいゆうか……。 信頼度MAX あん時の薬効いて……。なんてうそです~! レベルアップ たくましいわぁ~。 セリフ集(限界突破後) プロフィールコメント みおです!なんといっても生きがいは発明です。 マイクラブ そんなに見られたら照れてまいますわ~。 店舗運営 最近体重が気になりますわぁ~。ダイエット薬でも作らんと……。 働いてるときにたまに発明品を閃くことがあるんどす。 グッズ入手 あらあら、随分と貴重なもんどすなー。 乾杯 あらあら、そんなに酔わせてどないするんですか~? 信頼度アップ その、なんか店長に話したいゆうか・・・。 信頼度MAX あれれ、あの薬効いて…。う、うそです~! レベルアップ 限界突破 関心したわぁ~、ガラっと変わるもんどすなぁ。
https://w.atwiki.jp/viptohothtitle/pages/56.html
2009/11/05(木) 14 08 32.55 泣き出すまで悪口を言いたい東方キャラ 1. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 08 32.55 ID BDsoz381O ひなない天子 2. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 08 52.57 ID +1M2/l0uP じょうすけ 3. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 15 10.20 ID BDsoz381O 天子「あっ、奇遇ねこんなところで会うなんて。そ、そうだ!良かったらい、一緒に食事でも//」 俺「あ?お前みたいなうざいだけの天人と一緒に飯食うとかどんな罰ゲームだよ」 天子「えっ………」 俺「だいたいお前は天人だろ?いっつも人間見下してるくせにあぁうっぜ」 天子「…そっ、そんなことないわ!私はあなたの事が……!」 俺「うおっ!きもい顔近づけんなよ屑が。頭に桃のっけてきめぇんだよばぁかwwあと俺お前のことだいっっきらいだから」 天子「………ひ…ひどい……」 俺「ひどいのはお前の顔だよブスwwwじゃあの」 天子「……ぅ…ぅう…ひっく…ぐすっ…ぅ…うわあああぁぁぁああん!!俺君……わだしのごど……きら…ぃ……なんだ……ぅう…ふぇぇん」 8. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 19 16.79 ID /shh/C6rO ゆうかりん 9. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 20 15.32 ID BDsoz381O 翌日 何事もなかったかのように落ち込んでる天子を家に連れ込んでセックス 天子は大喜び 中に出したあとは裸の天子を外に蹴り飛ばしてドアに鍵をかけたい 10. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 24 03.93 ID BDsoz381O 天子食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい 11. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 24 16.71 ID QbizC4+FO 天子は俺のもの 12. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 25 26.34 ID O6UR7PNY0 チルノ「カエル凍らすと楽しいよ」 俺「え?何が楽しいの?」 チルノ「あ、ほら、落としたら割れちゃった」 俺「幼稚だなぁ、いい加減成長しろよ」 チルノ「・・・」 俺「お前この前紅魔館行こうとして門番にやられてただろ、あんな奴にやられるってお前相当弱いぞ」 チルノ「・・・・ごめんなさい」 俺「そんでお前は腹いせにカエル凍らせて遊んでるだけ、負け犬もいいところだ」 チルノ「・・・うっ・・・やめてよ・・・もう言わないでよ」 俺「お前たまに魔理沙や霊夢につっかかってくるけど、本当は迷惑なんだよね お前とあいつらじゃあレベルが違うの、馬鹿が移るから引っ込んでろよ」 チルノ「うぅっ・・・ぐず・・・だって・・・わだし・・・・さびしいんだもん・・・・」 19. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 49 54.78 ID O6UR7PNY0 天子「今日は宴会だからいっぱい飲もうね」ゴクゴク シャー 俺「あれ?天子もらした?」 天子「え?あはは、違うよ」 俺「うわー天子がもらしたー」 \どっ/ 天子「あ・・・違うのこれはお酒こぼしただけで」 \どっ/ 21. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 14 58 04.17 ID Z0EfzPWSO チルノ 22. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 15 54 55.13 ID Kt9JwIWBP もりや諏訪子 24. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 16 57 08.40 ID xb0FREanP さとりちゃん!! 25. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/11/05(木) 17 20 25.96 ID tSfbiJwkO てんこちゃん! いつも意地っ張りなてんこちゃんを頭ごなしに責めで泣かせちゃいたい 最後にはなでなでしながら優しく抱き寄せて耳元でごめんねって囁きたい でもまだ許してくれなくで軽く暴れたり叩いたりするから無理やりキスする 急にしおらしくなるてんこちゃんかわいい!
https://w.atwiki.jp/newsmj/pages/12.html
18hinako ・リーチ命 ・ピンフ好き ・てゆうかピンフしか作れない ・なのにオタ風ならば頭に使えるコトを知らなかった ・順子>>>>>∞>>>>>刻子 ・符なんて知らねえ ・タンヤオの定義がいまいちよく分かってない ・だからクイタン作れない ・役を全部覚えていないかもしれない ・牌の数が減るとオリる時キツいのであまり鳴きたくない ・てゆうか鳴くのが怖い ・常にオリる事ばかり考えてる ・なのにスジとかよくわからない ・オリ方がとても見苦しい ・ダマテンされると確実にぶっこむ ・ドラが字牌だったら諦める ・一枚だけ持っている字牌のドラは一刻も早く捨てたい ・24 こーゆー待ちが嫌い ・89 これも嫌い ・東東 1m1m とんでもない ・開けた時に公九牌が多いと絶望する ・開けた時に789・123があると嬉しい ・筒子索子の数を時々間違える ・親になるのが怖い ・自信がない ・時々意識が飛ぶ ・自分のしたいことが自分でもわからない その愛らしいキャラクターと礼儀正しい対局マナーで、 周りの皆から同卓を望まれる若くて可愛い女の子。 どんなに理不尽な打ち込みがあっても決して愚痴や暴言を吐かず、 相手を立てることが出来るので、 負けたとしても気持ちよく点棒を払うことができるであろう稀有な存在。 実力は残念ながらまだまだ発展途上中と言わざるを得ないが、 若いだけに伸びしろが大きい分、期待が持てる。
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/1362.html
発売日 2003年3月20日 ブランド DISCOVERY タグ 2003年3月ゲーム 2003年ゲーム DISCOVERY キャスト 岬ゆうか(桜庭湊),榊るな(桜庭なぎさ),新出千晶(金城清香),朝霞紫(月島房江),高奈ゆか(蓑輪瞳子),児玉さとみ(鮎沢澪,パン猫),吹雪かおる(鷺ノ宮世津),大花どん(野乃ハナ) スタッフ ゲームデザイン&シナリオ原案:濱田智彰 シナリオ:濱田智彰,佐々木鏡次,久地マコト プログラム:karry キャラクターデザイン:ガンちゃん 楽曲:沢村竣,平沢ヤスム 画面デザイン:高瀬シムロ CG原画:ガンちゃん,東丘忍 イベントCG彩色:影原半蔵,ぱすてる,のと,トラ,サクライユウイチ,高瀬シムロ 立ちCG彩色:ぱすてる 背景原画:ガンちゃん 2Dチップエディット:シムロ 3Dチップエディット:ぱすてる 効果音:フレディ 音声編集:平沢ヤスム 音声レコーディングディレクター:黒まぐろ一本釣り レコーディングエンジニア:森山音響 広告デザイン&版下作成:高瀬シムロ,サクライユウイチ,はまちょ テストプレイ:MEGA NEXT,うさみん,狩野芳/TKCOB,はまちょ,MATANKI,かに・かに,高瀬シムロ,ダケさん SPECIAL THANKS:MATANKI,かに・かに,ダケさん,サクライユウイチ,高瀬シムロ,狩野芳/TKCOB 製作協力:有限会社ゼクシズ,あんく エグゼクティブプロデューサー:佐藤正明 プロデューサー:佐藤弘規 監督&総指揮:濱田智彰 販売元:株式会社セブンエイト 制作著作:DISCOVERY 主題歌 「優しく抱いて」 ボーカル:岬ゆうか、榊るな 作詞:沢村竣 作編曲:沢村竣 ギター:クメサップ ベース:ボブ久米 レコーディングディレクター:沢村竣
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2165.html
「けーねせんせー、さようならー!」 「またあしたねー!」 カァ、カァと群れなす烏が山へ戻る頃。 人里の寺子屋からも、授業から解き放たれた子供たちが喜び勇んで一斉に街中へと駆け出していく。 見送る先生は授業中とは打って変わった子らの笑顔が眩しくもあり、寂しくもあり。 「もう少し、楽しそうに勉強してくれたらな」 半年ほど前までいた、もう一匹のあの生徒みたいに。 今はもう見ることもないその生徒の存在を思い出してしまい、慧音の笑顔にさっと翳が差す。 「どうしたんだ、慧音?」 その表情の変遷を見ていたのか、見ていなかったか。 慧音の頭上に影が落ち、同時に気遣わしげな声が振ってきた。 聞きなれた声に顔を見上げれば、そこには違わず見慣れた姿が漂っている。 「妹紅、来たのか。いや、子供たちがきちんと家にまっすぐ帰るかどうか、見送っていたんだ」 まあ、考えごとに没頭していたにしてもそれ自体は嘘ではない。 慧音のことばに「そっか」と妹紅は頷いて、地上に降り立つと人気が消えて早くも空気が冷えてゆく寺子屋の中を見渡した。 以前なら、この頃を見計らって週に二度、三度と一匹の生徒がやってきた。 そのことを妹紅も覚えていたのだろう。「そういえば」と呟いて、教室へと向けていた視線を慧音へと向ける。 「前によく人目を忍んで来ていたゆっくりがいたよな。最近さっぱり見ないな」 「ああ。そのことなんだが……」 慧音は口ごもり、どこかが痛むような表情を作った。それはなんとも、説明しにくいことだ。 その反応に、妹紅の顔が曇る。不味いことを聞いたかと思いながら、沈黙を続かせるのもまた気まずいと思ったのだろう。 妹紅はとりあえず、そのまま会話を続けることを選んだらしい。一番可能性の高そうな不幸なできごとを口にした。 「……ここに通う途中に、事故か何かで死んでたのか?」 「いや。そういう訳じゃないんだ」 その問いには、慧音は違うと即答することが出来た。 というよりも、そうだったらまだよかった……と思わなくもない。慧音自身、不謹慎だと思う考えではあったが。 とはいえ、実際に起きたことはおそらくゆっくりにとってそれ以上に不幸な事態であったわけで。 「人……今回は人じゃなかったが、教えることは怖いなと。少し思っただけさ」 慧音の声に、少し自嘲の響きが混じった。 以前足しげく通っていたぱちゅりーは、実にいい生徒だった。 よく聞き、よく尋ね、よく考え、よく悩んだ。 ゆっくりの知性は、幼い子供によく似ている。成体でもそのレベルに留まるゆっくりは極めて多い。 だから慧音としても、子供たちを教える感覚で彼女にさまざまなことを教授することができた。 そして、一つだけ見落とした。 ぱちゅりーが何を求めて、人間――半獣半人の寺子屋の先生に、人間の歴史を簡単に教えて欲しいと頼み込んだのかを。 ぱちゅりーは、群れの指導者となることが多いゆっくりだ。 それが、人間の歴史――それも、途中からは幻想郷と枝分かれしてしまった、外の世界の歴史を学びたいなんて言い出したからには、 何かあると思ったほうが良かったのだろう。 とはいえ、まあ、しょせんゆっくりのやることだ。 何か裏があると気付いたとしても、それをいちいち気に留めたかどうかは、慧音自身にもわからないが。 今となっては、こう愚痴を零さざるを得ない。 「……なにも、一番の暗いところを模倣しなくても」 「……?」 戸惑いの目を向ける妹紅には敢えて応えることはなく、慧音は深々と白く煙る吐息を漏らすと共に、 もう群青に塗り替えられつつある東南の空を仰ぎ見た。 そして思う。 今から考えても、あのぱちゅりーは実にいい生徒だった。 慧音が噛み砕いて教えた外の世界の歴史を、ゆっくりなりに消化して結論と呼べるものを見出した。 ゆっくりがゆっくりするために、必要な方策を見つけたのだ。 ――ゆっくりがゆっくりするためには、てきとうなゆっくり種を他のみんなでゆっくりできないようにしたらいい。 そうしたら、少しごはんがたりなくても、少し暑かったり寒かったりしても。 そのゆっくり種を苛めている間は、みんな心はゆっくりできる。 それがぱちゅりーが慧音から教えてもらった人間の歴史の中に見つけた、ゆっくりが一番ゆっくりできる方法だった。 * * * やがて冬は既に北へと去り、生き物が待ち望んだ春が訪れたある日。 ぽいん、ぽゆん。ぽやん、ぽゆん。 聞きなれた奇怪な音がゆっくりと、リズミカルに、幾重にも重なって野山のあちこちに響いている。 冬篭りも終えて、冬を生き延びたゆっくりたちがまずは冬の節制でぎりぎりまで餓えた腹を一杯に満たすべく食料を求めて駆け巡る季節。 ただおうちの周りを散策するだけで好きなだけゆっくりできるはずの、ゆっくりたちにとって天国のような季節。 だというのに、この春はある一部の種のゆっくりにとっては、先の秋口に生まれた地獄の延長線に存在するものでしかなかった。 「こっちよ!」 「にげないでゆっくりしね!」 「レイパーは、どいつもこいつもおうじょうぎわわるいわね!」 地獄を演出するものたちは、初冬から変わらず青いリボンをつけたありす種と、月の帽子飾りをつけたまりさ種たちだった。 ゆーまにあの森の群れは、冬を越えて春に入っても平常運行だ。 それどころか、もとよりゆっくりたちに潜在化していたありす種への反感に乗って、同調する群れは各地にゆっくりと増えつつある。 つい先日も、ぶろんこが支配する群れがゆーまにあのドスの傘下に入ってありす種への迫害を強め出したという。 今、妖怪の山と正反対に位置する低山で行われている山狩りも、そうした動きの一貫に過ぎない。 それにしても、今随分前を逃げているありすは相当しぶといヤツだった。十数匹で追い回して、一向に追いつけないのだ。 というより、引っ張りまわされすぎて追っ手の方が今何処にいるのか自分の位置を失いつつある。 これでは相手を追い込むにも、適当な場所へ誘い込めない。 「……ゆゆっ。みんな、ちょっとまってね! このさきって、たしか」 この坂を上りきったら、そこに何が広がっていただろう。 追っ手――『ゆっくりたあて』の一匹が、めったに来ることのないこのあたりの知識を必死に引きずり出そうとする。 確か、追い込めそうな場所のはずだったのだが。 とはいえ、逃げる相手を追いかけている最中に「ちょっとまって」なんてできないわけで。 うろ覚えの記憶を探る間に急な斜面を必死にゆっくり登りきり、よれよれとへたりこみそうになる一同が見たものは。 「ゆひぃーっ、はぁーっ。ゆひぃーっ、ゆはぁー……あ?」 「ゆゆーっ!? ここはゆっくりできないよー!?」 見渡す限り一面に広がる、白く可憐な花の群生地。 小さな鈴を幾つも首にさげたようなその姿は、一見すればとてもかわいらしくて、ゆっくりできそうなものだった。 でも、それが絶対にゆっくりできないお花なのだということは、ろりすたちはとてもよく知っていた。 食べることどころか、触れることすらゆっくりにとっては命に関わる花畑。 その地を彩る花の名を、スズランという。 「……こっちにレイパーがきたはずなんだけど」 皆が一様に恐れて花畑に近づこうとはしないその中で。 リーダー格のろりすだけは、スズランに目を奪われることなく周囲の様子を探っていた。 この普通のゆっくりを拒むスズランの花畑の側に、姿が見えるゆっくりの数は二匹。 リーダーの言葉を耳にして、ようやくその存在に気付いたろりすとまりさたちが、今度は別の驚きでぎょっと身をすくませた。 「スー? ゆうか、しってる?」 「さあ、きにもしてないわ」 突然の闖入者を迎えて、だが先客の二匹は驚く様子も見せない。 ことに、めでぃすんの問いかけられたゆうかはろりすたちの方を見ようとする気配すらもなかった。 二匹とも、希少種である。ことに、ゆうかは多種のゆっくりと往々にして極めて関係が悪い。 ろりすたちもそれを知るから、その態度はなおのこと硬く、高圧的なものになる。 「かくすと、ためにならないわよ」 「どう、ためにならないのかしら?」 売り言葉に、買い言葉。 ゆうかとリーダー格のろりすの間の空間にさっとゆっくりできない気配が漲った。 ……もっとも、リーダー格以外のろりすやまりさたちは、どことなく乗り気ではない雰囲気を表情に漂わせているのだが。 「スゥ……ここはスーサンでいっぱいだよ。さがすならゆっくりさがすといいよ!」 「ゆゎっ、ゆっくりよらないでね!」 険悪な空気を仲裁するつもりだろうか。 一緒に探そうか、と無防備に近づくめでぃすんに『ゆっくりたあて』のまりさは慌てて近づかれた分後ろへと飛び退いた。 リーダー以外のろりすたちが気乗りしない様子を見せている理由が、まさにこれだった。 なにしろ、このめでぃすん種は触るだけで毒に冒されるという噂のある蠢く危険物だ。 人間の虐待愛好家もドMで苛め甲斐がないと評判のてんことならんで忌避する代物に、好んでお近づきになりたいと思うゆっくりなど、 幻想郷全土を探しても数えるほどしかいないだろう。 だが、そんな誰からも愛されない危険物である分、この鈴蘭に満ちた無名の丘でも不都合なく暮らせるという利点もあった。 こんな場所に長居出来るのは、中身が毒入り餡子だというこのめでぃすん種と、植物との親和性が高いゆうか種ぐらいのものだ。 仮にありす種がこの中に逃げ込んで、この二匹が庇っているのだとしても。 この二種が耐えられる環境だからといって、ありす種が無事に生きて戻れる道理は何一つない。 「おいかけなくてもだいじょうぶそうね」 「おはなさんがえいえんにゆっくりさせてくれるね」 追っ手のありすとまりさが、顔をつき合わせてぶつぶつと相談している。方向性は、すでにほぼ固まっているようだった。 リーダー格のろりすがその最中に刺すような一瞥をゆうかに向けたが、 その眼差しに気付いたゆうかが怯むこともなく真っ向からじろりとにらみ返すと、忌々しげに舌打ちしてすぐに目線を反らした。 結論が出たのは、それからすぐあとのことだった。 「……いくわよ」 リーダー格の指示が出るや、ろりすと飾り付きまりさの群れは一斉にこのゆっくりできない無名の丘から立ち去っていく。 正直なところ、スズランどれだけ近づくと危ないのか具体的なことまではわからない彼女たちは、生きた心地がしなかったのだろう。 リーダーの指示が出てから、数十匹はいた彼女たちの姿が完全に視界から消え去るまで、ゆっくりにしては驚くほどの速さでことが進んだ。 周囲に、もう一匹も闖入者たちの姿は見えない。 闖入者がいてもいなくても、ゆうかとめでぃすんは変わらずスズランの畑でゆっくりしていた。 ゆうかは草花が身近にあればそれで十分ゆっくりできるし、めでぃすんはスーサンの毒があればそれで十分ゆっくりできた。 そんなとてもゆっくりできるゆっくりプレイスにいるから、二匹は場に存在する気配が三匹分あっても気にしない。 二匹のゆっくりプレイスに、迫る死に怯えて逃げてきた闖入者が飛び込んできて勝手に隠れても、そんなものは知ったことではなかった。 「どうして、だまっていてくれたの?」 群生するスズランよりやや手前、普通の草が覆い茂った一角がわずかにあった。 声の主は、その中にある窪みに半身を埋め、息を殺してことの成り行きを窺っていたらしい。 自分はレイパーよばわりされてるありすなのに。心底不思議そうに尋ねる声の主に、ゆうかは小さく笑ってこう応じる。 「よわいものいじめには、きょうみないもの」 なるほど、と声の主――逃げていたありすは納得した。 ゆうかにとっては、例えありすがレイパーであったとしても『よわいもの』なのだ。だから、恐れるには足りない。 そして同時に、恐らくはろりすたちも群れるだけの『よわいもの』として映っているのだろう。 よわいもの同士の、よわいもの苛め。ゆうかにとってはつまらないことこの上ない演目に違いない。 その余裕が、逃亡ありすに対して寛容さとして顕れたのだろう。 その強さが、流されることのないあり方が、ありすにはとても羨ましく思えた。 「めでぃすんはゆっくりをかいほうするの!」 一方で、めでぃすんのいっていることは、いまいちわかりにくいけれど。 どうも、よわいものの味方だということらしい。しかしゆっくり解放とは大きく出たものだとありすは小さく笑った。 現実には、同じゆっくりからも敬遠されやすいめでぃすんはゆっくり解放どころか自分の解放から始めなくてはならなさそうだったが。 きっと、めでぃすんにはたいした問題ではないのだろう。 その寂しさが少しありすには気がかりで、だがやはりどこか羨ましく感じるところがあった。 まあ、なんにしても。 ありすは暫くぶりに、ずっと張りっぱなしだった気を抜いた。 ここには、ずっとありすを流し続けた嫌な流れがなかった。ありすはありすでいられるようだった。 二匹は流れを生み出さない。自分たちの在り様だけで超然としている。 それは他者と交わらない生き方だったが、今のありすはそれが一番心地よかった。 「しばらく、ゆっくりしていってもいい?」 もし、本当にゆっくりしたいなら、いつまでもこのゆっくりプレイスにはいられない。 尋ねながらそう気付く。 このゆっくりプレイスは、スズランの毒があるだけではない。孤独という、心の毒も孕んでいるから。 だが、それでもいいかとも思えた。 流されるまま、奪われるがままのゆん生よりは、その方が幾らかマシだとも思えた。 外に出れば、自分は自分でいられない。ありすが何であるかは、ありすが決めることではなくなってしまう。 ありす自身が例えなんであっても、そのありようは周囲が望む形に囚われてしまう。 それは、絶対に、嫌だった。 「「ゆっくりしていってね」」 ――ほら、孤独という安らぎは、こんなにも暖かい。 この閉じた空間で、わずかな付き合いだけを世界の全てにして、時に寂しさを覚えつつ一人きりで暮らす以上の幸福は、 外の世界に出てしまえば決して望めないじゃないか。 幻想郷という世界は、ありす種を即ちレイパーだと定めたのだから。 * * * ありす種は、レイパーだ。 ありす種として生れ落ちたゆっくりは、ごく一部の例外を除いて先天的なレイパーだ。 そしてその残ったごく一部の例外は、優秀なありすハンターになるのだ。ゆーまにあのドスのもとで。 幻想郷に生まれた『常識』は、それまでのレイパー被害という実績に基き急速に人と、ゆっくりの間に根付いていった。 その『常識』を裏打ちする数字は、どこにも存在しない。 存在しないし、必要ともされなかった。 レイパーの源であるありすを排除してしまえば、多かれ少なかれその被害もなくなるのだ。 そのひどく乱暴で簡単な理屈は、頭のつくりが粗雑なゆっくりにはとても受け入れやすかった。 ありすは、ありすという種は、もういかなる形であれゆっくりを手に入れることは未来永劫できない。 ありすがゆっくりの社会の中で生まれ、暮らす限りにおいて、ゆっくりできることは絶対にない。 流れのレイパーか、他にゆっくりのいないどこかに隠れ住まない限り、孤独を貫かない限り、ゆっくりを手に入れることは出来ないのだ。 ――果たして、そうまでして手に入れたものが真にゆっくりと呼べるものになるのか。 ゆん生の終わりに、しあわせー♪を感じて全うすることが出来るものになるのか。 それは、相当に疑わしかったのだけれど。 _______________________________________________ ありすとまりさは金髪のザコだと気が付いたら、ぶろんこさんを出したくてたまらなくなった。 ゆっくりたあて他のゆーまにあネタはほぼ枢軸・共産時代のルーマニアが元ネタ。なので東のドスはソ連相当。 ちなみにゆっくりたあての元ネタは「セクリタアテ」という、孤児集めて作り上げた秘密警察だったり。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2352.html
「けーねせんせー、さようならー!」 「またあしたねー!」 カァ、カァと群れなす烏が山へ戻る頃。 人里の寺子屋からも、授業から解き放たれた子供たちが喜び勇んで一斉に街中へと駆け出していく。 見送る先生は授業中とは打って変わった子らの笑顔が眩しくもあり、寂しくもあり。 「もう少し、楽しそうに勉強してくれたらな」 半年ほど前までいた、もう一匹のあの生徒みたいに。 今はもう見ることもないその生徒の存在を思い出してしまい、慧音の笑顔にさっと翳が差す。 「どうしたんだ、慧音?」 その表情の変遷を見ていたのか、見ていなかったか。 慧音の頭上に影が落ち、同時に気遣わしげな声が振ってきた。 聞きなれた声に顔を見上げれば、そこには違わず見慣れた姿が漂っている。 「妹紅、来たのか。いや、子供たちがきちんと家にまっすぐ帰るかどうか、見送っていたんだ」 まあ、考えごとに没頭していたにしてもそれ自体は嘘ではない。 慧音のことばに「そっか」と妹紅は頷いて、地上に降り立つと人気が消えて早くも空気が冷えてゆく寺子屋の中を見渡した。 以前なら、この頃を見計らって週に二度、三度と一匹の生徒がやってきた。 そのことを妹紅も覚えていたのだろう。「そういえば」と呟いて、教室へと向けていた視線を慧音へと向ける。 「前によく人目を忍んで来ていたゆっくりがいたよな。最近さっぱり見ないな」 「ああ。そのことなんだが……」 慧音は口ごもり、どこかが痛むような表情を作った。それはなんとも、説明しにくいことだ。 その反応に、妹紅の顔が曇る。不味いことを聞いたかと思いながら、沈黙を続かせるのもまた気まずいと思ったのだろう。 妹紅はとりあえず、そのまま会話を続けることを選んだらしい。一番可能性の高そうな不幸なできごとを口にした。 「……ここに通う途中に、事故か何かで死んでたのか?」 「いや。そういう訳じゃないんだ」 その問いには、慧音は違うと即答することが出来た。 というよりも、そうだったらまだよかった……と思わなくもない。慧音自身、不謹慎だと思う考えではあったが。 とはいえ、実際に起きたことはおそらくゆっくりにとってそれ以上に不幸な事態であったわけで。 「人……今回は人じゃなかったが、教えることは怖いなと。少し思っただけさ」 慧音の声に、少し自嘲の響きが混じった。 以前足しげく通っていたぱちゅりーは、実にいい生徒だった。 よく聞き、よく尋ね、よく考え、よく悩んだ。 ゆっくりの知性は、幼い子供によく似ている。成体でもそのレベルに留まるゆっくりは極めて多い。 だから慧音としても、子供たちを教える感覚で彼女にさまざまなことを教授することができた。 そして、一つだけ見落とした。 ぱちゅりーが何を求めて、人間――半獣半人の寺子屋の先生に、人間の歴史を簡単に教えて欲しいと頼み込んだのかを。 ぱちゅりーは、群れの指導者となることが多いゆっくりだ。 それが、人間の歴史――それも、途中からは幻想郷と枝分かれしてしまった、外の世界の歴史を学びたいなんて言い出したからには、 何かあると思ったほうが良かったのだろう。 とはいえ、まあ、しょせんゆっくりのやることだ。 何か裏があると気付いたとしても、それをいちいち気に留めたかどうかは、慧音自身にもわからないが。 今となっては、こう愚痴を零さざるを得ない。 「……なにも、一番の暗いところを模倣しなくても」 「……?」 戸惑いの目を向ける妹紅には敢えて応えることはなく、慧音は深々と白く煙る吐息を漏らすと共に、 もう群青に塗り替えられつつある東南の空を仰ぎ見た。 そして思う。 今から考えても、あのぱちゅりーは実にいい生徒だった。 慧音が噛み砕いて教えた外の世界の歴史を、ゆっくりなりに消化して結論と呼べるものを見出した。 ゆっくりがゆっくりするために、必要な方策を見つけたのだ。 ――ゆっくりがゆっくりするためには、てきとうなゆっくり種を他のみんなでゆっくりできないようにしたらいい。 そうしたら、少しごはんがたりなくても、少し暑かったり寒かったりしても。 そのゆっくり種を苛めている間は、みんな心はゆっくりできる。 それがぱちゅりーが慧音から教えてもらった人間の歴史の中に見つけた、ゆっくりが一番ゆっくりできる方法だった。 * * * やがて冬は既に北へと去り、生き物が待ち望んだ春が訪れたある日。 ぽいん、ぽゆん。ぽやん、ぽゆん。 聞きなれた奇怪な音がゆっくりと、リズミカルに、幾重にも重なって野山のあちこちに響いている。 冬篭りも終えて、冬を生き延びたゆっくりたちがまずは冬の節制でぎりぎりまで餓えた腹を一杯に満たすべく食料を求めて駆け巡る季節。 ただおうちの周りを散策するだけで好きなだけゆっくりできるはずの、ゆっくりたちにとって天国のような季節。 だというのに、この春はある一部の種のゆっくりにとっては、先の秋口に生まれた地獄の延長線に存在するものでしかなかった。 「こっちよ!」 「にげないでゆっくりしね!」 「レイパーは、どいつもこいつもおうじょうぎわわるいわね!」 地獄を演出するものたちは、初冬から変わらず青いリボンをつけたありす種と、月の帽子飾りをつけたまりさ種たちだった。 ゆーまにあの森の群れは、冬を越えて春に入っても平常運行だ。 それどころか、もとよりゆっくりたちに潜在化していたありす種への反感に乗って、同調する群れは各地にゆっくりと増えつつある。 つい先日も、ぶろんこが支配する群れがゆーまにあのドスの傘下に入ってありす種への迫害を強め出したという。 今、妖怪の山と正反対に位置する低山で行われている山狩りも、そうした動きの一貫に過ぎない。 それにしても、今随分前を逃げているありすは相当しぶといヤツだった。十数匹で追い回して、一向に追いつけないのだ。 というより、引っ張りまわされすぎて追っ手の方が今何処にいるのか自分の位置を失いつつある。 これでは相手を追い込むにも、適当な場所へ誘い込めない。 「……ゆゆっ。みんな、ちょっとまってね! このさきって、たしか」 この坂を上りきったら、そこに何が広がっていただろう。 追っ手――『ゆっくりたあて』の一匹が、めったに来ることのないこのあたりの知識を必死に引きずり出そうとする。 確か、追い込めそうな場所のはずだったのだが。 とはいえ、逃げる相手を追いかけている最中に「ちょっとまって」なんてできないわけで。 うろ覚えの記憶を探る間に急な斜面を必死にゆっくり登りきり、よれよれとへたりこみそうになる一同が見たものは。 「ゆひぃーっ、はぁーっ。ゆひぃーっ、ゆはぁー……あ?」 「ゆゆーっ!? ここはゆっくりできないよー!?」 見渡す限り一面に広がる、白く可憐な花の群生地。 小さな鈴を幾つも首にさげたようなその姿は、一見すればとてもかわいらしくて、ゆっくりできそうなものだった。 でも、それが絶対にゆっくりできないお花なのだということは、ろりすたちはとてもよく知っていた。 食べることどころか、触れることすらゆっくりにとっては命に関わる花畑。 その地を彩る花の名を、スズランという。 「……こっちにレイパーがきたはずなんだけど」 皆が一様に恐れて花畑に近づこうとはしないその中で。 リーダー格のろりすだけは、スズランに目を奪われることなく周囲の様子を探っていた。 この普通のゆっくりを拒むスズランの花畑の側に、姿が見えるゆっくりの数は二匹。 リーダーの言葉を耳にして、ようやくその存在に気付いたろりすとまりさたちが、今度は別の驚きでぎょっと身をすくませた。 「スー? ゆうか、しってる?」 「さあ、きにもしてないわ」 突然の闖入者を迎えて、だが先客の二匹は驚く様子も見せない。 ことに、めでぃすんの問いかけられたゆうかはろりすたちの方を見ようとする気配すらもなかった。 二匹とも、希少種である。ことに、ゆうかは多種のゆっくりと往々にして極めて関係が悪い。 ろりすたちもそれを知るから、その態度はなおのこと硬く、高圧的なものになる。 「かくすと、ためにならないわよ」 「どう、ためにならないのかしら?」 売り言葉に、買い言葉。 ゆうかとリーダー格のろりすの間の空間にさっとゆっくりできない気配が漲った。 ……もっとも、リーダー格以外のろりすやまりさたちは、どことなく乗り気ではない雰囲気を表情に漂わせているのだが。 「スゥ……ここはスーサンでいっぱいだよ。さがすならゆっくりさがすといいよ!」 「ゆゎっ、ゆっくりよらないでね!」 険悪な空気を仲裁するつもりだろうか。 一緒に探そうか、と無防備に近づくめでぃすんに『ゆっくりたあて』のまりさは慌てて近づかれた分後ろへと飛び退いた。 リーダー以外のろりすたちが気乗りしない様子を見せている理由が、まさにこれだった。 なにしろ、このめでぃすん種は触るだけで毒に冒されるという噂のある蠢く危険物だ。 人間の虐待愛好家もドMで苛め甲斐がないと評判のてんことならんで忌避する代物に、好んでお近づきになりたいと思うゆっくりなど、 幻想郷全土を探しても数えるほどしかいないだろう。 だが、そんな誰からも愛されない危険物である分、この鈴蘭に満ちた無名の丘でも不都合なく暮らせるという利点もあった。 こんな場所に長居出来るのは、中身が毒入り餡子だというこのめでぃすん種と、植物との親和性が高いゆうか種ぐらいのものだ。 仮にありす種がこの中に逃げ込んで、この二匹が庇っているのだとしても。 この二種が耐えられる環境だからといって、ありす種が無事に生きて戻れる道理は何一つない。 「おいかけなくてもだいじょうぶそうね」 「おはなさんがえいえんにゆっくりさせてくれるね」 追っ手のありすとまりさが、顔をつき合わせてぶつぶつと相談している。方向性は、すでにほぼ固まっているようだった。 リーダー格のろりすがその最中に刺すような一瞥をゆうかに向けたが、 その眼差しに気付いたゆうかが怯むこともなく真っ向からじろりとにらみ返すと、忌々しげに舌打ちしてすぐに目線を反らした。 結論が出たのは、それからすぐあとのことだった。 「……いくわよ」 リーダー格の指示が出るや、ろりすと飾り付きまりさの群れは一斉にこのゆっくりできない無名の丘から立ち去っていく。 正直なところ、スズランどれだけ近づくと危ないのか具体的なことまではわからない彼女たちは、生きた心地がしなかったのだろう。 リーダーの指示が出てから、数十匹はいた彼女たちの姿が完全に視界から消え去るまで、ゆっくりにしては驚くほどの速さでことが進んだ。 周囲に、もう一匹も闖入者たちの姿は見えない。 闖入者がいてもいなくても、ゆうかとめでぃすんは変わらずスズランの畑でゆっくりしていた。 ゆうかは草花が身近にあればそれで十分ゆっくりできるし、めでぃすんはスーサンの毒があればそれで十分ゆっくりできた。 そんなとてもゆっくりできるゆっくりプレイスにいるから、二匹は場に存在する気配が三匹分あっても気にしない。 二匹のゆっくりプレイスに、迫る死に怯えて逃げてきた闖入者が飛び込んできて勝手に隠れても、そんなものは知ったことではなかった。 「どうして、だまっていてくれたの?」 群生するスズランよりやや手前、普通の草が覆い茂った一角がわずかにあった。 声の主は、その中にある窪みに半身を埋め、息を殺してことの成り行きを窺っていたらしい。 自分はレイパーよばわりされてるありすなのに。心底不思議そうに尋ねる声の主に、ゆうかは小さく笑ってこう応じる。 「よわいものいじめには、きょうみないもの」 なるほど、と声の主――逃げていたありすは納得した。 ゆうかにとっては、例えありすがレイパーであったとしても『よわいもの』なのだ。だから、恐れるには足りない。 そして同時に、恐らくはろりすたちも群れるだけの『よわいもの』として映っているのだろう。 よわいもの同士の、よわいもの苛め。ゆうかにとってはつまらないことこの上ない演目に違いない。 その余裕が、逃亡ありすに対して寛容さとして顕れたのだろう。 その強さが、流されることのないあり方が、ありすにはとても羨ましく思えた。 「めでぃすんはゆっくりをかいほうするの!」 一方で、めでぃすんのいっていることは、いまいちわかりにくいけれど。 どうも、よわいものの味方だということらしい。しかしゆっくり解放とは大きく出たものだとありすは小さく笑った。 現実には、同じゆっくりからも敬遠されやすいめでぃすんはゆっくり解放どころか自分の解放から始めなくてはならなさそうだったが。 きっと、めでぃすんにはたいした問題ではないのだろう。 その寂しさが少しありすには気がかりで、だがやはりどこか羨ましく感じるところがあった。 まあ、なんにしても。 ありすは暫くぶりに、ずっと張りっぱなしだった気を抜いた。 ここには、ずっとありすを流し続けた嫌な流れがなかった。ありすはありすでいられるようだった。 二匹は流れを生み出さない。自分たちの在り様だけで超然としている。 それは他者と交わらない生き方だったが、今のありすはそれが一番心地よかった。 「しばらく、ゆっくりしていってもいい?」 もし、本当にゆっくりしたいなら、いつまでもこのゆっくりプレイスにはいられない。 尋ねながらそう気付く。 このゆっくりプレイスは、スズランの毒があるだけではない。孤独という、心の毒も孕んでいるから。 だが、それでもいいかとも思えた。 流されるまま、奪われるがままのゆん生よりは、その方が幾らかマシだとも思えた。 外に出れば、自分は自分でいられない。ありすが何であるかは、ありすが決めることではなくなってしまう。 ありす自身が例えなんであっても、そのありようは周囲が望む形に囚われてしまう。 それは、絶対に、嫌だった。 「「ゆっくりしていってね」」 ――ほら、孤独という安らぎは、こんなにも暖かい。 この閉じた空間で、わずかな付き合いだけを世界の全てにして、時に寂しさを覚えつつ一人きりで暮らす以上の幸福は、 外の世界に出てしまえば決して望めないじゃないか。 幻想郷という世界は、ありす種を即ちレイパーだと定めたのだから。 * * * ありす種は、レイパーだ。 ありす種として生れ落ちたゆっくりは、ごく一部の例外を除いて先天的なレイパーだ。 そしてその残ったごく一部の例外は、優秀なありすハンターになるのだ。ゆーまにあのドスのもとで。 幻想郷に生まれた『常識』は、それまでのレイパー被害という実績に基き急速に人と、ゆっくりの間に根付いていった。 その『常識』を裏打ちする数字は、どこにも存在しない。 存在しないし、必要ともされなかった。 レイパーの源であるありすを排除してしまえば、多かれ少なかれその被害もなくなるのだ。 そのひどく乱暴で簡単な理屈は、頭のつくりが粗雑なゆっくりにはとても受け入れやすかった。 ありすは、ありすという種は、もういかなる形であれゆっくりを手に入れることは未来永劫できない。 ありすがゆっくりの社会の中で生まれ、暮らす限りにおいて、ゆっくりできることは絶対にない。 流れのレイパーか、他にゆっくりのいないどこかに隠れ住まない限り、孤独を貫かない限り、ゆっくりを手に入れることは出来ないのだ。 ――果たして、そうまでして手に入れたものが真にゆっくりと呼べるものになるのか。 ゆん生の終わりに、しあわせー♪を感じて全うすることが出来るものになるのか。 それは、相当に疑わしかったのだけれど。 _______________________________________________ ありすとまりさは金髪のザコだと気が付いたら、ぶろんこさんを出したくてたまらなくなった。 ゆっくりたあて他のゆーまにあネタはほぼ枢軸・共産時代のルーマニアが元ネタ。なので東のドスはソ連相当。 ちなみにゆっくりたあての元ネタは「セクリタアテ」という、孤児集めて作り上げた秘密警察だったり。